エアバスと中国西北工業大学が航空機パーツの3Dプリント協力

エアバスと中国の強い関係

航空機産業は3Dプリント技術が最も取り入れられている業界の一つだ。ジェットエンジンに始まり、プラスチックの細かいパーツ類など、様々な部分で、従来の金型や金属加工から3Dプリント製造に切り替わりつつある。

そんな中エアバスが中国の西北工業大学とあらたに3Dプリント製造の協力関係を結んでいる。もともとエアバスと中国は深い関係にあり、エアバスの民間機のすべての機種には中国企業が生産した部品が使われている状況だ。

中国は世界の工場としての地位を確立して久しいが、今では部品製造のクオリティは相当なレベルまで向上している。とりわけエアバスとの関係で言うと、全方位的な協力関係を結んでおり、その分野は非常に多岐にわたっている。例えば原材料の調達に始まり、部品の設計と生産、さらには大型部品の組み立てから、テスト、最終の機体組み立てまで及んでいる。

その取引量は年々増加しており、多い月では月産4機のエアバス機を生産するほどだ。今回新たに西北工業大学と共同研究を開始するのは別に突然でもなんでもなく、従来からエアバスと中国の製造業は強い関係にあるためだ。

中国の高い3Dプリント技術

西北工業大学は中国の大学の中に置いても主要大学として国からも高い評価を得ている大学だ。主に技術工学系に強く、とりわけ宇宙工学、海洋技術工学などといった分野で重点教育が行われている。3Dプリント技術の研究も歴史が古く、今から約20年近く前の1995年から固体レーザー焼結の研究が開始されている。

今年に入って約5mに及ぶチタン航空機パーツの製造研究を行っており、今回のエアバスとの3Dプリント提携は、2016年度の旅客機の中央翼の製造を見据えたものだ。このチタンパーツの3Dプリントによる最大の効果はパーツ重量が55%も軽量化することが可能になる。

またコスト面やリードタイムの面でも従来の製造に比べてはるかに安く、はるかに短くすることが可能であり、3Dプリント技術を用いた次世代型製造に切り替えることは機体性能の向上には欠かすことができない。

5mの3Dプリントされたチタンの中央翼

中国の巨大3Dプリンター

まとめ –製造業の技術レベルが格段に向上する中国-

今年に入り、シャドーバンキングや理財商品の問題で、デフォルトの危機や中国経済の先行き不安が注目されている。また以前よりも人件費が格段に上昇していることから中国に生産拠点を置くことのメリットを疑問視する声も存在する。

しかし、その一方で、長年の下請け工場としての役割を演じてきている中で、製造業の技術レベルは格段に向上していることは間違いない。中国の製造業の最大の強みは、一つの技術が一つの企業に伝わると、それが全中国に存在する同業他社に一気に広まり、業界全体の技術レベルの底上げがすさまじいスピードで行われる点だ。

なおかつ高騰しているとはいえ、まだまだ日本に比べれば安価な人件費を武器に製造拠点としての地位をゆるぎないものにしている状況だ。また、今回のエアバスと中国西北工業大学のように、3Dプリント技術のような最先端技術には国家レベルでの投資を行うため、技術に裏打ちされた経済力は相当なものがあるだろう。

3Dプリントの世界市場を見てみも現在はアメリカが最大のマーケットだが、早晩中国が3Dプリントの最大の市場になることは間違いなく、市場の成熟に従ってますます最先端技術を取り組む力を秘めていると考えられる。今回のエアバスと中国西北工業大学の取組はそんな中国技術の潜在的な力強さを垣間見た事例だと言えよう。

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