オートデスクはCarbon3Dの超高速3Dプリント技術に1000万ドルを投資

革新的な光造形3DプリンターCarbon3Dに1000万ドル投資

新たな光造形3Dプリンターとして注目が集まるCarbon3Dプリンター。一般的なDLPなどの液状のエポキシ樹脂アクリル樹脂などに紫外線を硬化させるだけの光造形とは異なり、液状樹脂の中で紫外線を照射し固めるCLIP製法から、積層のあらが全くない造形で一躍注目を浴びている。

また、このCLIP製法の優れた点は、造形精度のなめらかさだけではなく、その高速性も驚異的だ。同じ物体の造形スピードを比較したところ、従来の光造形とは比較にならないスピードでつくることができる。このCarbon3Dプリンターの登場は、ある意味これまでプロトタイプの確認といった3Dプリンターの使い方を一気に変革する可能性を秘めている。

そんな注目が集まるCarbon3Dプリンターに、オートデスクが1000万ドルの資金を投資している。これまでにベンチャーキャピタルであるセコイア・キャピタルから4100万円の資金調達に成功しているが、新たに3Dプリンターで、スパークプラットフォームで革新を続けるオートデスクからの支援は、3Dプリンターを新たなフェーズに押し上げるものになりそうだ。

Carbon3Dプリンター CLIP技術

Carbon3Dプリンターに関するくわしい内容はこちらをどうぞ

オートデスクのスパーク投資基金とその目的

Carbon3Dプリンターに1000万ドル投資したオートデスクのスパーク投資基金は昨年に設立されたものだ。これはCarbon3Dプリンターのような斬新な技術力を持つ新興企業に投資し、彼らの技術開発をバックアップすることで、オートデスクが進めるオープンソースの3Dプリンタープロジェクト、スパークプラットフォームを促進させることが目的。

オートデスクはスパーク投資基金の中で、3Dプリント技術について言及しているが、彼ら自身の3Dプリンターに対する認識も「残念ながら、このプロセスはまだ複雑で、高価で、多くの場合、信頼できない可能性がある」としている。

すなわち、優れた技術、ハードウェア、ソフトウェア、材料、サービスを問わず、この投資ファンドを通じて開発を後押しすることで、3Dプリント業界全体のレベルの底上げを図ろうとしているわけだ。

今回のオートデスクからの投資に関して、Carbon3DのCEOジョゼフ・デシモン博士は、「CLIP技術は、ハードウェア・ソフトウェア・分子科学、三つの技術的なクロスによって成り立つ技術。オートデスクのような強豪企業がこのCLIP技術の革新的な性質を認識し、支援してくれることはとても光栄だ」と述べている。

Carbon3Dプリンター動画

まとめ オートデスクの目指す方向と狙いとは

オートデスクは光造形のオープンソース3DプリンターEmber3Dをスパークプラットフォームの参加企業に提供しているが、おそらくこの投資を通じて、このスタートアップの株式を取得、3Dプリンター業界で確固たる基盤を確立することを狙っていると予測される。その目指す方向とはどのようなものなのだろうか。

前述のようにスパーク投資基金は、3Dプリント業界全体の底上げにあるが、その背景には3Dソフトウェア単体の限界があるとしている。オートデスクの認識では3Dプリント技術の革新は、ソフトウェア単体で行うことは不可能であり、ハードウェアとソフトウェア、材料、サービス、あらゆるフェーズにおいて向上しなければならないとの認識をもっている。

そのため、新たなアイデアや革新的な技術を持つ企業に対して投資を行うだけではなく、同時に自社が33年間培ってきた幅広いグローバルネットワークへアクセス可能にすることで、巨大な3Dプリント関連企業のグローバルネットワークを築くことが目的である。

オートデスクはその中にあって、主体的な地位と主導的な役割を発揮することができ、そこから得られる可能性と利益は無限だ。世界各国の製造業(厳密には製造という枠組みを超えた)を、デジタル技術で世代型に変革する主導的な役割をますます発揮するのではないだろうか。

もはや単なるソフトウェアアプリケーションのメーカーではなく、新たな時代のものづくりの旗手と言えるだろう。

オートデスクのスパークプラットフォームに関する記事はこちらもどうぞ

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。