3Dプリントではなく3Dペイント!?GEが取り組む部品修理技術コールドスプレー

添加剤製造の研究で20年の実績をもつGE

GEは言わずと知れたアメリカのエレクトロニクス産業を代表する世界最大のコングロマリットだ。そのGEが11月7日に金属部品を修復するあらたな技術を発表した。今回発表された新技術はコールドスプレーと呼ばれる方法で、GEが取り組む添加物製造(3Dプリント技術)ツールキットの一部だ。

実はGEは3Dプリンターに代表されるような添加剤製造の研究で20年の実績を持っている。

GEは既に自社の生産体制に添加物製造技術すなわち3Dプリント技術を導入しているが、製造部品のうちの10%は3Dプリンターで製造している。また今後10年間でその比率を25%近くまで、また20年間で50%近くまで上昇させる方向でうごいている。

コールドスプレーは既存のパーツ類の一部を修復したり構築したりするために使用される技術で超音速のスピードで金属粉末を噴霧し添加する技術だ。金属粉末粒子が超音速に達すると限界値を超え変形し、基盤やパーツの表面に付着するという仕組みになっている。

下記はコールドスプレーを使用した場合の動画になっている。

 3Dペイント技術 コールドスプレー技術で何が変わるのか

GEの発表によると。このコールドスプレーの利点は、添加される金属粉末とパーツ・基板にかかる熱の量が比較的少ないことにあるとされている。熱の量が少ないため、粉末と添加されるパーツの原型構造と化学的特性が維持されたままになるとのことだ。

すなわち、このコールドスプレー技術で老朽化したり耐久例が低下したパーツを修復し、部品の寿命が一気に伸ばすことができるという。

現在はまだ金属粉末での使用にとどまっているが近い将来にはローター、ブレード、シャフト、プロペラ、ギアボックスなどの航空機産業で使用される部品の修復に利用できるようにするということだ。また同時にGEの石油化学部門での研究も開始されているようで、石油やガスの掘削やターボ機械に関わる修理またはコート部品への代替方法として、コールドスプレーを模索しているとのことだ。

GEのコールドスプレー

まとめ

GEは3Dプリント技術に代表されるようなアディティブマニュファクチャリング、添加剤製造で20年間におよぶ研究実績がある。現在GEで既に使用されている3Dプリンターの数は300台以上に上っており、製造プロセスを変化させる次世代産業革命として添加剤製造技術をとらえている。

添加剤製造に関するGEの取組は3Dプリンターの研究にとどまらず、新素材や新しい合金の研究開発・使用方法の研究など多岐にわたっている。その分野は21分野に分かれて研究されており、今回発表されたコールドスプレー技術もそのうちの一つだ。こうしたGEの添加剤製造の取組は製造業に何をもたらすのであろうか。

3Dプリンターによるパーツのダイレクト製造は主にパーツの製造で使用されている。いままでパーツ製造に対してかけていた金型、人員、時間等のコストは3Dプリント製造することで圧縮することができる。また製品化する前に1個単位で製造することができるため、生産開始前の検証や改修が容易にすることができるため、パーツクオリティの向上も容易にすることが可能だ。

一方、コールドスプレーは超音速で金属粉末を噴霧し添加させる技術で3Dプリントならぬ3Dペイントと言える技術だ。GEはこの技術はパーツ製造ではなくパーツ修復にメリットがあり大型パーツの修復にも効果を発揮すると述べている。現在の3Dプリンターにも可能不可能があり、不可能なもののひとつとして大型パーツの製造ができなという点がある。

また、製造するパーツが大きければ大きいほど生成にかかる時間が長くなり、大きい部品の製造には適さないとう特徴がある。こうした点から見ると3Dペイントととらえられるコールドスプレー技術はパーツの修復というサイトで力を発揮すると考えられる。

3Dプリンターで製造できない大きさや、製造できてもかなり時間がかかる大きさのパーツをコールドスプレーを使用することによって短時間で修復することができればより製造プロセスの現場においてコスト削減が可能になる。コールドスプレーの利用はまだ限定されているようだが、将来的には様々なパーツに利用できるようにするとのことだ。

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