i.materialiseはデザイナー向けにamazon、Etsyへの販路拡大サービスを開始

拡大する3Dプリントマーケットプレース

昨年以降、続々と登場する3Dプリントサービス。日本でも新たなサービスを展開する企業が登場しつつあるが、この分野で世界的にリードする企業はおそらく3社だろう。

オランダ発の3Dプリントサービスで、ニューヨークに本拠を構えるShapeways、フランス発でオンラインのクラウドサービスから開始したSculpteo、そしてベルギー発で、アディティブマニュファクチャリングと3Dプリント技術の専門企業マテリアライズが行うi.materialiseの3つだ。

中でも最も歴史が古く、日本での展開を行っている3Dプリントサービスはi.materialiseのみ。i.materialiseは7月1日で日本に展開して1周年を迎えたが、ここで更なるサービス拡大を図っているようだ。

amazon,Etsyへの販売を希望するデザイナー支援

i.materialiseは現在β版として3Dプリントサービスやデザイナーの作品の販売を展開しているが、今回発表されたのは、大手通販サイトamazonや、世界最大のハンドメイド品の通販サイトEtsyとの提携。

最近の3Dプリント市場の拡大に伴い、amazonやEtsyも既に3Dプリント通販に乗り出している状況だ。たとえばamazonでは、ShapewaysやSculpteoのショップも既に設けている。

今回i.materialiseが提携する方法は、自分の作品を販売したいデザイナーや個人向けに販路を拡大するというサービスになる。デザイナーがわざわざ、amazonやEtsyに自分でショップを設けなくても、作品が出品できるという仕組みだ。

例えばamazonに出品するにしても、わざわざ書類を用意し、手続きや審査を行わなければならず、こうした出品に対するハードルはデザインに集中したいクリエイターたちにとってはわずらわしいものだ。

amazonのSculpteoの3Dプリントマーケット

ハンドメイドの最大手Etsyも3Dプリント市場に参入

 たったの3ステップで販路拡大ができる

i.materialiseはこのサービスをAPI企業CreatorFooと提携することで可能にしている。手続きは極めて簡単で、i.materialiseに登録しているデザイナーであれば、たったの3ステップでamazonとEtsyに出品することが可能だ。

  1. CreatorFooに登録する
  2. i.materialiseショップから3Dモデルをアップロード
  3. CreatorFooがamazonやEtsyに商品掲載を代行

これにより、わざわざamazonやEtsyでのショップアカウントを設けることもなくなり、支払手数料を支払う必要もなくなるとのことだ。

例えば、amazonやEtsyで注文が入ればCreatorFoo経由でi.materialiseにオーダーが入る仕組み。

商品を購入したいユーザーも、デザインを行うデザイナーもそれぞれの購入と制作に集中することができる。こののシステム、現在はトライアル版では無料でamazonまでは出品可能とのこと。

API CreatorFooは英語版だが、現在無料トライアル実施中

3Dプリントマーケットプレースの差別化はクオリティか

今回のi.materialiseのクリエイター支援のサービスは、3Dプリントサービスの更なる拡大をもたらすことになる。

上記で述べた通り、世界最大の通販サイトamazonが3Dプリント製品の販売に乗り出しているし、30万人以上のクリエイターが登録するハンドメイド通販の最大手Etsyも3Dプリント作品の販売を開始している。

また、世界最大のオークションサイトebayも昨年から3DプリントマーケットプレースでiPhoneケースを販売するなど、ネット通販業界の巨大サービスがその手を拡大してきている状況。しかし、こうした大手通販サイトの展開方法は、全て専門の3Dプリントサービスと提携することで行われているようだ。

amazonに開設されているShopもShapewaysやSculpteoのショップだし、今回のi.materialiseのamazon、Etsyの販路拡大支援も、結局のところ、最終的には3Dプリントサービスが製造するということになる。

すなわち、いくら大手だからとはいえ、にわかには参入することはできないサービスなのだ。そこには3Dプリントの技術や精度といった専門知識、また製品の仕上がりといったクオリティが重要になってくるためだ。

i.materialiseは70種類のカラー、16種類の素材で様々な仕上げができる

まとめ 24年の歴史と経験を持つ専門企業のクオリティ

3Dプリントサービスの役割は上記のようなマーケットプレースの拡大に伴い、今後更なる重要性を増してくるだろう。

そうなったときには、それぞれの特徴や差別化をいかにして出して行くかということが重要になる。

今現在有名な3Dプリントサービスは先にも述べた3社だが、それぞれでその成り立ちが全く異なっている。Shapewaysはマーケットプレースの草分け的存在で、2007年設立の企業だ。

デザイナーの1点モノを年間数百万点、全世界に販売している。製造にあたっては50台以上の高性能な産業用3Dプリンターを配備し、製造を開始している状況にある。

また、Sculpteoはクラウド技術に強みを持つ企業で、2009年創業のスタートアップ。

Shapeways同様デザイナーズ商品を販売しているが、どちらかというとフランスの中小企業向のパーツプリントが中心といっていい。フランスではフランス郵政公社とも提携し、3Dプリントサービスを展開中だ。

しかし、上記2社に比べてはるかに3Dプリントに関して歴史と経験を持ち、世界展開しているのがマテリアライズだ。その歴史は古く3Dプリンターが注目されるはるか昔、1990年に設立されている。

ちょうど今年の6月で24年を迎えたこの企業は、様々な素材の3Dプリントから、3Dモデルを作るためのソフトウェア技術、さらには2メートル以上の造形物を作ることができる光造形機の開発まで行い、さまざまな製造業で多くの信頼を勝ち取っている。

i.materialiseはそんな3Dプリント技術の超専門集団が展開する3Dプリントサービスであることから、3Dプリント販売で一番重要となる完成度や表現力は最も信頼できそうだ。

i.materialiseのクリエイターの立場やモノづくりの立場に立った視点は、今後続々と登場し、更なる拡大を続ける3Dプリント市場の中で、大きな価値を発揮するに違いない。

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