全てのタブレットとスマートフォンを3Dスキャナーにするインテルの野望

インテルのビジネスモデルと3Dスキャン

インテルはパソコンに必須のマイクロプロセッサで世界シェア8割を占める巨大企業だ。

部材メーカーであるにも関わらず、「Intel入っている」のCMではおなじみで、一般の人々からも認識されている。このインテルのビジネスモデルは、インサイドモデルと言われ、基幹部品の性能を高め標準化することで、完成品を従属させるビジネスモデル。

そのためパソコンの値段が変わろうとも、インテルの提供するチップの価格は変わらず高い収益構造を上げることができる。

しかし、このインテルのマイクロプロセッサのビジネスもパソコンの販売台数が伸びなければ成立しない。近年のスマートフォンやタブレット端末の普及で、パソコン販売台数は伸び悩み、インテルのパソコン向けのチップ販売は低迷してきている。

また、今後拡大すると言われているスマートフォン向けの半導体導入ビジネスではインテルはARMに市場シェアをとられている。

こうした状況を受け、新たにインテルが力を入れる分野が3D事業だと言われている。実はインテルはこの3D分野では密かに注目を集める企業で、「3Dプリント業界に最も影響力を持つ企業TOP10」でもGEやMakerbot、ローカルモーターズなどを抑え5位にランクインしている。

なぜインテルが?と思われる方も多いと思われるが、インテルは3Dスキャニング分野で新たな「Intel 入ってる」を確立させようと動いている。本日は、次のインサイドビジネス確立を狙うインテルの3D事業をご紹介。

3Dスキャンでインサイドモデル確立を狙うインテル

全てのタブレット端末のカメラを3Dスキャン機能

インテルの狙う次のインサイドモデルとは、これから販売される全てのタブレット端末のカメラを3Dスキャン対応にするというものだ。この技術はインテル®RealSense™テクノロジーと言われ、物体の測定やフォーカスはもちろんのこと、3Dスキャンと3Dプリンターの連携が行われる。

そしてこの技術の最大の特長はスクリーン上の3Dモデルを、タッチパネルに触れることなく手で操作することができるという驚きのものだ。このジェスチャーコントロール技術は、インテル®RealSense™テクノロジーに搭載される二つのカメラが、正確に人間の手の動きを追跡し、タブレット端末に触れることなく画面を操作できるというもの。

下記はそのテスト中の動画だ。まるでアイアンマンで、ロバート・ダウニー・Jrがアイアンマンを設計するときのような感覚で手に触れることなくモニター操作が実際にできる。

スマートフォン対応も2年から3年で実用化、3Dsystemsと連携

インテルはこの3D機能搭載のカメラは既に実用段階に入っており、2015年の第三四半期か、第四四半期に搭載したタブレット端末を市場に投下するという。

また、スマートフォン向けの開発は今後2、3年以内に実用化し、すべてのスマートフォンに搭載する見通しだ。この3Dスキャンの心臓部である小型カメラは、タブレット端末やスマートフォンのカメラ 部分に取り付けられるほど超小型のものになる。

タブレットやスマートフォンに高性能な3Dカメラが搭載され、編集加工も自由にモニター状でできれば、もはや消費者向けの3Dスキャナーは不要かもしれない。

ちなみに、このインテルの進める開発を背後からバックサポートし、そして連携を図ろうとしているのが3Dsystemsだ。3Dsystemsは今年の8月に新たな消費者向けの3Dデザインソフトと3Dスキャニング対応の技術開発を進める工場をオープンさせたが、この動きはインテルの新たな技術®RealSense™テクノロジーとの連動を示すものだと言える。

3DsystemsのCEO Avi Reichental氏が述べている事では、インテルのこの3Dカメラに対応する編集、3Dプリントができる消費者向け3Dソフトの開発を行なう計画があるとしている。エンドユーザー向けの市場では、価格帯と使い勝手の良さという二つのポイントは欠かすことができない。

タブレット端末のスタンダード機能として3Dカメラが普及することは何より消費者向け市場にとって大きいと思われる。

消費者向けの簡単な3Dソフトを開発する3Dsystems

拡大するタブレット市場と3Dスキャン市場

現在3Dスキャナーは各社が開発し販売しているが、価格帯や使用方法などさまざま。ちなみに日本国内の3Dスキャナー市場規模は、矢野経済研究所によると2012年は1280台、76億8千万円で、2016年度には、ほぼ2倍の2300台、110億円規模と拡大を続ける見通し。

3Dプリンターの市場拡大とともに3Dスキャナーも拡大を続けていく状況だ。同時にタブレット端末の販売台数も成長し続ける見通し。タブレット端末の販売台数は、2016年度には1,170万台に達する見込みである。タブレット端末はノートパソコンに変わる物として、また教育向け、シニアユーザーにも普及が拡大することが予測される。ちなみにタブレット端末は世界規模で2016年には3億台を突破する見込み。

タブレット端末の市場推移 画像引用元:ICT総研

まとめ

3Dスキャナー市場は市場調査会社が予測するよりも異なる動きを示すかもしれない。今回のインテルの動きは、上記で述べた矢野経済研究所が予測する3Dスキャン市場の枠組みを大きく飛び越えるものだと言えるだろう。

仮にこの3Dスキャナーとディスプレイに触れることなく操作できるタッチパネルが高機能で実用化されれば、3Dスキャナー市場は全く異なる物になるだろう。また同時にそれを編集する3Dソフトウェアが誰でも使える簡単なものになれば、3Dプリンターと連携しその使用は一気に拡大する可能性を秘めている。

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