企業向のシェア拡大を狙うMakerbotはDellワークステーションの独占供給元に

低価格3Dプリンターの主要販路は中小企業

低価格タイプの3Dプリンターで最も流通しているのがMakerbotだ。

特にアメリカの低価格帯の市場では圧倒的シェアをほこっている。今年に入り続々と登場する低価格帯の3Dプリンターだが、いまだ主導的地位を占めているが、その傾向はますます強まる可能性が高い。

現在、低価格タイプの3Dプリンターの主な販路は一般家庭ではない。主に中小企業やデザイン事務所などが主流だ。 これまで3Dプリンターは大手製造業では、当たり前のように使われてきた経緯がある。

基本的には試作品を作ることが主目的であり、最終品の生産に利用が開始されたのは、ほんのここ最近の話だ。一方で中小企業やデザイン事務所は低価格モデルの登場でようやく自社でも3Dプリンターを使うことができるようになった。

このように低価格モデルの主要販路はしばらくの間、中小企業やデザイン事務所になるだろう。その理由としては一般家庭が使用するにしてはまだ価格が高いという点や、3Dデータ自体が広く普及していないことがあげられる。

中小企業やデザイン事務所といったBtoB市場が期待されるなか、Makerbotは強力なパートナーと提携することで市場での地位を確固たるものにしようとしている。

Makerbotの3Dプリンター

Dellワークステーションの独占供給元に

Makerbotがパートナーとして提携をしているのは、全世界で最多の販売数を誇るDellだ。すでにアメリカではパートナーとして販売に成功しているが、今回はイギリスでの提携が開始されるという。

内容はDellが中小企業向けに行うDellワークステーションのFDMタイプの3Dプリンターの独占供給元にMakerbotがなるというもの。デルワークステーションは、おもに中小の製造業やデザイン会社向けに提供されるハードとソフトのサービスで、具体的にはソリッドワークスや、Autocadなど高性能な設計ソフトに対応した設計支援を行なうもの。

中小製造業や建築事務所、デザイン事務所など、BtoBルートに圧倒的に強い販路を持つDellの独占供給元になることで、市場での地位を確固たるものにしようという狙いがうかがえる。

Makerbotはアメリカ市場では既に圧倒的シェアを誇るが、イギリスをはじめヨーロッパ市場においては、ReprapやUltimakerといった低価格モデルが主流を占めている。

今回のDellとの提携ではヨーロッパ市場におけるBtoB市場への挑戦が見て取れる。

まとめ -性能と保守対応でどこまで差別化できるか-

多くの調査会社やコンサルタント会社の予測では、一般家庭に3Dプリンターが本格的に流通し始めるのは2030年以降になるとの予測を出している。

中には2040年度にはアメリカの家庭の約50%に普及するとの予測もある。 この予測は早まるかもしれないし、遅くなるかもしれない。

しかし、今後数年間は、低価格帯、デスクトップモデルと言われる3Dプリンターの主要な販路は対中小企業になるだろう。 このようにBtoB、対企業が相手になった場合に求められるものはどのような要素なのだろうか。

第一に商品としての品質がある。これは対エンドユーザーでも対企業でも変わらず必要なことだ。 第二は、保守、メンテナンス、不具合時等のトータルサポートが重要になる。 日々日常業務で頻繁に使用する場合には、導入先の企業の業務が、不具合などによって停止しないことが絶対条件だ。

こうしてみてみると、Dellワークステーションのような対企業向に既にサービスを行っている企業と提携することは非常に大きな意味を持っている。

特に法人相手の場合は、不具合が出たその日にすぐに交換したり、修理するといった対応が求められるからだ。まさにMakerbotは最適のパートナーを選んだとみていいだろう。

一方で気になるのがプリンター自体の精度だ。今度の提携では、MakerbotのReplicator 2X, Replicator Mini、 Replicator 第五世代がメインになるが、プリント時の不具合や精度はどの程度改善されているのかが気になるところだ。

機器として一定のクオリティを持ち、しっかりとした保守対応ができるのであれば、多くの企業に導入される可能性がある。続々と登場する低価格3Dプリンターだが、今後競争が更に激化しそうだ。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。