ゴムのように柔軟な伸縮性を持つ3Dプリンター用材料NinjaFlex

続々と登場する3Dプリンター用材料

3Dプリント技術の研究開発において、最も重要な位置を占めるのが材料だ。

3Dプリントできる材料が拡大することで、作れる商品やパーツなども幅が拡大する。現在は、ABSPLAを中心に、セラミック、金属類といったものが主流。 最近では最先端素材として注目を集める炭素繊維やカーボンナノチューブの研究も盛んだ。

そんな中新たに、ゴムのように柔軟な伸縮性を持っている3Dプリンター用の材料が登場した。本日は新たな新材料、NinjaFlexをご紹介。

驚異的な伸縮性を誇るゴム状材料

この伸縮性に富む新材料NinjaFlexは、熱可塑性エラストマーでできた伸縮性に富んだ材料だ。

熱可塑性エラストマーとは、熱を加えることで軟化し、冷却してゴム状にする物質。主に射出成型で使用される材料で、迅速に成形加工が行うことができる。

NinjaFlexは、熱可塑性エラストマーでできた3Dプリント用の材料で、驚くべき柔軟性を持っている。下記はNinjaFlexで3Dプリントしたスマートフォンケースや人形の動画。

NinjaFlex動画

スマートフォンケースがゴム状になる

ABS樹脂とNinjaFlexに圧力を加えた比較 ABSで成形されたものは当然壊れる

NinjaFlexで作られた競技用自転車BMXのグリップの動画

BMXのカスタムグリップ

NinjaFlex-1

NinjaFlexのスペック

  • ABS樹脂やPLA樹脂を使用するFDM3Dプリンターに最適
  • 低粘着性
  • 高い伸縮性と優れた耐摩耗性
  • 推奨押し出し機温度:210℃~225℃
  • 推奨プラットフォーム温度:20℃~50℃
  • 造形スピード:30㎜/秒
  • カラー:9色

医療用目的でも使用

まさにゴムと全く変わらない柔軟性を発揮していることがうかがえる映像だ。このNinjaFlexは、上記のようなおもちゃや自転車のグリップ以外に、既に以外なところにも使用されている。

それは医療用レプリカの生成だ。下記は医療用でNinjaFlexが使用されたことを紹介する動画だが、具体的には手術前の心臓のレプリカの生成に使用されている。実際に医師が執刀を行う前に、事前にCTスキャンしたお子さんの心臓をNinjaFlexで3Dプリントし、事前に疾患を治す最善の方法を探るという目的だ。

医療用で使用された事例を紹介する動画

NinjaFlexで作られた医療用の心臓レプリカ

まとめ

現在このNinjaFlexはイギリスを中心としたヨーロッパと、アメリカ、中東などで販売が開始されるとのことだ。 この材料を使って精度の高い物体が生成することができれば3Dプリンターの使用範囲も一段と拡大されることが期待される。

一方で、現状の低価格帯の3Dプリンターの性能では、使用にかなりの注意が必要のようだ。 それは材料である熱可塑性エラストマーの性質に起因する。熱によって簡単に変形してしまうという特性から、一定の柔軟性を保った状態で3Dプリントするための温度管理が非常にデリケートであることがうかがえる。

ただでさえ低価格帯の3Dプリンターは押し出し機の精度が不安定で、デリケートなものであるにもかかわらず、より細かい温度管理等が必要になれば、使い方を選びそうだ。

しかし、3Dプリンターの性能は日々改良がなされているから、NinjaFlexのような材料に適した機種も登場し、対応していくだろう。 いずれにせよ3Dプリント用の材料が続々と登場すれば、更なる表現の幅が拡大するとともに、商品開発におけるコスト削減とスピード向上が更に進むことになりそうだ。

3Dプリント材料の研究開発は、最も重要な分野として今後も注目していきたい。

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