500倍のスピードと10倍の大きさが造形可能な3Dプリンター
3Dプリンターはここ数年で飛躍的に性能が向上しつつある。
従来では不可能であった、フルカラーのプラスチック印刷が可能になり、様々な材料が使用できるようになってきた。また、物体の大きさについても、従来の3Dプリンターの大きさをはるかに超える製品が登場したりしている。
しかしその一方で、3Dプリンターの製造スピードはまだまだ遅いのが現状だ。正直なところ、今でも1cm程度プリントするのに1時間も時間がかかっているのに、いままでの10倍ちかい物体をプリントするのは何日かかるんだ、というような疑問もわく。
目下、各メーカーや研究機関、グーグルまでもが3Dプリンターのスピードを向上させる研究開発をおこなっているが、アメリカのオークリッジ国立研究所が今での3Dプリンターの200倍から500倍のスピードでプリントできるポリマー用3Dプリンターの研究開発を開始したという。
オークリッジ国立研究所はアメリカで70年間の歴史をもつ研究機関で、主に最先端材料やエネルギー、ライフサイエンスといったハイテク機関だ。
以前ご紹介したが、自動車を完全に3Dプリントしようと試みるローカル・モーターズとも提携を行って共同研究を行っている。
今回の500倍ものスピードを向上させる3Dプリンターの開発では、シンシナティ社と行う。
シンシナティ社は115年間つづく大規模製造機器のメーカーで、今までに55000以上もの機械を製造している会社だ。オークリッジ研究所とシンシナティ社は古い提携関係にあるとのことで、既に500倍ものスピードアップを果たす3Dプリンターはプロトタイプの開発に入っているとのことだ。
また、この新型は速度だけではなく、造形サイズも従来の3Dプリンターの10倍近い大きさまで可能にするという。
これが完成した場合には、従来の3Dプリンターの概念を変えてしまう製造マシーンになる可能性がある。
オークリッジ国立研究所
まとめ
もし今の3Dプリンターの500倍近い速度で、10倍近い物体がプリントできるようになれば、完全なオーダーメードの単体製造が可能になるだろう。
GEではジェットエンジンノズルを3Dプリント製造する計画で動いているが、年間の85000ユニットの燃料ノズルを製造するためには、高性能な3Dプリンターを70台ほどと、専門のオペレーターが70名必要だという。
速度だけに限定しざっくり言い切ってしまうと、スピードが2倍になれば導入に必用な台数も半分になり、4倍になれば4分の一になる計算だ。
このため設備投資という面や生産性という面から考えても3Dプリンターのスピードアップは近々の課題と言える。
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