電子機器の高性能試作 ゼロックスPARCのフレキシブルエレクトロニクス3Dプリント 

市場規模が2016年に450億ドル

最近次世代素材として折り曲げることができる電子機器の素材が注目されている。

スマートウォッチなどのウェアラブル端末の登場や、フレキシブルな電子機器の研究が行われていることから、折り曲げられるフレキシブルな電子素材はこれからの注目素材だ。

10月にパシフィコ横浜で開催された「FPD International 2013」でもフレキシブルなリチウムイオン二次電池の試作品が登場したり、世界で最も剛性があり同時に柔軟性がある新素材グラフェンの研究など、各社が成長する巨大市場を見据え取り組みはじめている。

その市場規模は現在でもグローバルマーケットで10億ドル(約1000億円)規模にもの上り、2016年には450億ドル(4兆5000億円)規模に達すると予測されている。

世界的プリントメーカーゼロックスの開発

フォーチュン500社に名を連ねているアメリカのプリンターメーカー、ゼロックスの子会社PARC社もフレキシブルエレクトロニクス材料の研究開発に取り組んでいる。

PARC社の取り組むフレキシブルエレクトロニクス素材は、軽量で頑丈、折り曲げや巻き取り可能、折り畳みができる素材で、主に基板材料業界、半導体メーカー、誘電体および金属の供給者や開発者を対象に製品提供とサービス提供を行う。

現在はまだ試作段階にあるが、PARC社はフレキシブルエレクトロニクス素材をプリントして生成できる高性能印刷装置を開発したとのことだ。

この高性能印刷装置、いわばフレキシブルエレクトロニクス素材の3Dプリンターによって、電子機器の試作製造をサービスとして提供する仕組みだ。

折り曲げできるエレクトロニクス素材1

折り曲げできるエレクトロニクス素材2

電子機器のラビットプロトタイピング

同様な素材であるグラフェンも素材の研究開発と同時に3Dプリントでの利用も研究されているが、PARC社の開発したフレキシブルエレクトロニクスは従来の大面積エレクトロニクス、プリント回路基板チップからシリコン回路によって製造された薄膜エレクトロニクスなどの試作に対応している。

試作サービスといっても、3Dプリンターのような側だけのラビットプロとタイピングではなく、新たなデバイスの発明、デザイン、シミュレーションに始まり、同時に試作デバイスへのソフトウェア組み込み、コンピュータアプリケーションのインストールなども提供する。

一言でまとめると電子機器(側と起動のソフトウェア含めた)ラビットプロトタイピングサービスと言える。

3Dマイクロ電気機械真空装置

ソフトウェア・アプリケーションの設計・動作試作も行う

まとめ

フレキシブルエレクトロニクス材料市場は2018年度まで毎年40%の成長率で市場が拡大するとも言われている。

特にウェアラブルデバイス端末に始まり、アメリカのアップル、韓国のサムスン、LG、ドイツのシーメンスなど巨大エレクトロニクス企業が折り曲げ可能な電子機器の製造開発に積極的に取り組んでいることがあげられる。

ゼロックスPARCが発表したフレキシブルエレクトロニクス素材の高性能印刷サービスは、こうした巨大企業の製造開発を促進させ、研究活動をさらに推し進めることになるのではないだろうか。

3Dプリント技術によって、大量生産用の金型を製造する前に素早く試作品が作れることができるようになり、製品開発にかかるリードタイムがはるかに短くなった。

これと同じことが、フレキシブルエレクトロニクス素材のオンデマンド生産により、これからの時代の電子機器の製造開発が従来よりも安いコストと短い時間で可能になるだろう。

面白いのは単なる側や見栄えだけの試作ではなく、電子機器という特性上、ソフトウェアやアプリケーションという部分も含んだ試作になるという点である。今後の製品開発と運用に注目していきたい取組だ。

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