3Dプリント技術で製造体制とサプライチェーン変革を図るプーマ

アジア諸国の人件費高騰に苦しむプーマ

プーマはアディダスと並ぶドイツの代表的なスポーツメーカーだ。

1924年に創業して以来約90年近い歴史を持つ企業でもある。今では従業員数9310名を抱え、世界中で展開するグローバル企業だ。

そのプーマだが、今大きな転換期を迎えているという。

プーマのCEOとして改革にあたるグルテン氏が発表したところによると、プーマはナイキ、アディダスに遠く引き離された3位であり、2014年度には利益もスランプに陥っているようだ。

利益減少の根本的な原因として挙げられるのが生産拠点であるアジアの人件費高騰や政情不安があげられる。

現在プーマは32か国178社のサプライヤーからを抱えており、その78%がアジアで占められているという。アジアのサプライヤーの諸国は中国、ベトナム、インドネシア、カンボジア、バングラディッシュなどで、経済成長著しい新興国たちだ。

中国に代表されるようにこうしたアジアの新興国たちは軒並み経済成長を遂げつつあり、人件費の高騰もかなりのヴォリュームに上る。

一方で、プーマの売り上げ構成の大半を占めているのがアメリカやヨーロッパだ。

優に欧米で売り上げの70%を占めている。こうした状況の中、欧米や先進国における成熟した消費者の要望に応えるべく、グルテンCEOは新たなプーマのとるべき道を発表している。

プーマCEOグルテン氏

3Dプリント技術で製造プロセスの変革を図る

グルテンCEOが発表しているところでは、基本的により安価な人件費を求めてアフリカなどの諸国に製造拠点を変更するというような、サプライチェーンの見直しを図ることは無いとのことだ。

プーマが生産拠点として持つ中国やベトナム、などの諸国は確かに人件費は上昇し続けているが、一方で生産に対する技術的な部分も向上していることがあげられるためだ。

むしろ向上した生産技術を核にしつつ、既に試作品製造で使用されている3Dプリント技術とグローバルに通信が可能なIT技術を組み合わせることで、今まで以上にコストと時間を削減し効率的な製造体制がとることができるとしている。

グルテンCEOは下記のように述べている。

既にアジア諸国の工場は非常に清潔で、20年前に我々が見た工場と比較することはできない

また同時にアディダス社が取り組んでいるようなより消費者の細かい要望に迅速に応えられる生産体制を作る必要があるとも述べている。

特に問題視されているのは業界のリードタイムの長さで、こうした製造プロセスの改良も3Dプリント技術によって迅速になされることが期待されているようだ。

まとめ -製造拠点の移動よりも製造体制を最先端技術で次世代型へ-

3Dプリント技術は、プーマの発表に見られるように、人件費の高騰を気にした他国への生産拠点の移動を阻止する可能性を秘めている。

阻止というよりも、そもそも生産拠点を移す必要が無い製造体制を構築することを可能にする。

言うまでもなく3Dプリンターは3Dデータから物体が生成することが可能であるため、部品やパーツを製造し送る必要はなく、データをクラウド上で共有することで済む。また、量産にあたっても従来のように余分な在庫を抱える必要もなく、使用する分を生産するだけで済む。

さらには試作品製造によってもそこにかける人員、時間、コストが従来の製造方法とは比較にならないほど削減することが可能だ。

現にプーマの競合であるアディダスでは試作品の製造において、大幅に効率化を図ることが可能になり、人員は12人から2人に、時間は最大6週間かかっていたものが、1日2日で済むようになったと発表している。

こうした3Dプリント技術がもたらすコスト削減は製造プロセスを変えるだけではなく、企業の体力をも強化することになる。そのメリットは、安価な人件費をもとめて生産拠点を移転するよりもはるかに大きなものだ。

プーマCEOのグルテン氏が発表している通り、まずは第一段階として3Dプリント技術やIT技術による製造体制の変革を図り、その上でサプライチェーンの体制をIT化された次世代型に生まれ変わらせることがグローバルワイドに展開する企業にとって正しい方向なのかと考えられる。

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