3Dプリンターで航空機エンジンを作り始めたロールス・ロイス

 3Dプリンターで時間圧縮するロールス・ロイス

3Dプリンターをパーツ製造に取り入れる動きが進んでいる。ロールス・ロイスというと車メーカーを思い浮かべるが、もともとイギリスのロールス・ロイス社は1906年に設立された航空機エンジンや船舶などの機械部品を製造するメーカーである。

このロールス・ロイス社だが航空機エンジンのパーツ製造に3Dプリンターを使用して製造することを発表した。

3Dプリンターで製造される部品はブラケットなどのパーツで、従来の製造方法で作られた部品よりもはるかに軽量化されるとのことだ。

3Dプリント技術の導入に関してロールス・ロイスの技術戦略担当のトップが言っていることによると、ロールス・ロイス社が航空機エンジンの部品製造に3Dプリンターを取り入れたのは数年前からだという。

そしてそのメリットはパーツの軽量化だけではなく、部品製造に関するリードタイムを短縮し、在庫を持つ必要がなくなったという点があるとのことだ。

特にある一部のパーツ製造には金型を使用して製造しているため出来上がるまで18ヶ月近い期間がかかっていた。しかし3Dプリンターを取り入れることでその部品は1週間で製造することが可能になった。

合理的な製造プロセスに変える機能をもつ

3Dプリンターは航空機分野での使用で大きな力を発揮している。航空機のジェットエンジンのパーツ製造に3Dプリンターを取り入れているのはロールス・ロイスが初めてではない。

同じジェットエンジン製造で有名なGEアビエーションも燃料ノズルのパーツ製造に3Dプリンターを取り入れている。

GEの場合も3Dプリンターを導入する理由はコスト削減にある。航空機エンジンの燃料ノズルは従来は20種類以上のパーツを組み合わせて製造されていたが、3Dプリンターを使用して製造した場合は、製造に関するリードタイムが圧倒的に短縮することが可能となり、20種類の部品にかかるコストも削減することができる。

これはロールスロイスの導入した理由である特定部品の製造に費やされる18ヶ月の期間がわずか1週間に短縮できる点と同様である。

こうしたパーツ製造に取り入れる動きは航空機分野だけではなく自動車業界のパーツ製造に取り入れられている。また、もう一つの使い方としてスペアパーツ品の在庫を置く必要がなくなったということがあげられる。

従来の製造方法では修理改修などの場合を想定してスペアパーツの在庫スペースを確保し製造を行っていたが、3Dプリンターでは1個単位でデータからダイレクト製造することができるためわざわざスペア品の在庫を持つ必要はない。NASAが3Dプリント技術を研究する理由もスペアパーツ製造での用途という側面がある。

例えば3Dプリントでスペアパーツが製造できれば、宇宙ステーションの修理・改修用のスペアパーツを置く必要や、宇宙に送る必要はない。

そのため宇宙空間での3Dプリント技術の研究が行われている。こうした製造業や宇宙開発における3Dプリンターの使用方法を見ると、製造プロセスの中の一部分を切り替えるだけでより効率的な製造工程が取れるようになるための一合理的手段で、世情さわがれる革命的な意味はない。

3Dプリンターの航空機のジェットエンジン製造の記事はこちら

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。