靴のインソールの3Dプリント製造
靴のインソール製造に3Dプリント技術を使用するという取り組みが注目を集めている。
新たに175万ドル（約1億7500万円）の資金調達を行なったのは、靴のインソールのカスタマイズ製造を目的とするSols社だ。
Sols社の設立者の一人であるキーガン氏は昨年3Dプリントサービスの超有名企業shapewaysの工場を見学した際に、靴のインソールのカスタマイズ製造を思いついたとのことだ。
キーガン氏自身が足の裏の痛みに苦しんでいるところから、足病学の一環として個人の体重、足の裏の形状などに適合したインソール製造ができないかと考え付いたという。
ちなみい足病学とは現代になって登場した医学で、コンクリート舗装され、ハイヒールなど様々な形の靴をはく現代にあっては、最も効果的に足の働きを修正し、矯正する必要があるとする医学だ。
個人個人によって足の形や歩き方、体重、バランスのかけ方等、千差万別であり、こうした個人の特性を加味したうえで、歩行のバランスを考える必要がある。
このように足病学の面から靴を考えた場合、靴の形状ももちろんだが、足裏を支えるインソールの形状は千差万別であり、カスタマイズ製造が特長の3Dプリント技術は最適と言える。
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インソールの機能と役割
上記のように足病学に基づいてインソールを考えた場合、インソールの人に与える影響はどのようなものなのだろうか。
例えば、具体的には足の骨のバランスが乱れることで、姿勢や足、膝、股関節にも大きな負担がかかり、血液循環の悪化を招くことが言える。
足は第二の心臓とも言われる重要な体の一部で、それにより腰痛や肩こり、さらには体調不良を引き起こしかねない。
インソールはこうした足の骨配列のバランスを最適に整え、上記のような骨配列の乱れからくる体の不具合を修正する機能があるとされている。
足病は一般的に足裏から踵、膝、アキレス腱といった足部の痛みだけではなく、血流障害や冷え性、糖尿病といった病気を引き起こすと言われている。こうした症状を治療し、改善する役割をインソールは担っているとされる。
インソールは個人個人に適合している必要がある
足病学に基づいたソフトウェア工学と3Dプリント製造
足病にとって非常に大きな役割を担っているインソールだが、その製造方法は個人の足の形状や体重、体のバランス等、様々な生体的要素を加味して製造がなされる。
Sols社はこうした千差万別の個人カスタマイズに3Dプリント技術を用いて製造する。具体的には個人個人の足の形状を3Dスキャンし完全なデジタルデータから製造するという仕組みだ。
ユーザーはSolsが提供する専用アプリケーションを自分のスマートフォンにダウンロードし、カメラアプリを使ってスキャン、リアルタイムで生成され、データを転送するという方法をとる。
ちなみにSolsには足病学と生体学を反映したソフトウェア工学の専門家がスタッフとしており、より個人個人にフィットしたインソールを提供することを狙う。
提供される素材は超柔軟剤や抗菌ナイロンの素材の3Dプリントで、完全なオーダーメード製品。カラーも様々なカラーから選ぶことが可能だ。
Solsのインソール製造の特長：抗菌、柔軟性、耐久性、ナイロン素材、カスタムフィット、手ごろな価格、ファッション、洗浄可能
ユーザーは携帯アプリを使用しデータ転送を行うだけ
インソールのモデリング
まとめ
Solsは現在本格的に消費者や患者の要求にこたえるために、ニューヨークの医者のネットワークを形成している。
各地域にいる医者とパートナーシップを結ぶことで、患者のデータを医療機関から送信してもらい、インソール製造につなげたい狙いだ。
2014年中に本格的なサービスを開始するとのこと。ちなみにインソールの製造は従来の型を取る方法では最長で4週間近くの日数がかかってしあうが、3Dプリント製造であれば、約48時間程度だという。
3Dプリント製造の特長であるコスト削減、時間短縮、品質向上という3つの利点がインソール製造には最適であることがわかる。
こうしたインソール製造の取組はSolsだけではなくイギリスでも同様の3Dプリント製造が開始されている。以前も本サイトでご紹介させていただいたが、イギリスの場合は政府の国民保健サービスの一環としてなされており、政府から86万ポンド（約1億4千万円）の資金提供を受けたFDM Digital Solutionsがサービスを開始している。
アメリカもイギリスもいち早く3Dプリント技術を製造プロセスに導入し、生産効率の向上と企業体質の強化を図っている国だ。今後も様々な分野に3Dプリント技術を導入する動きが強まるだろう。
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