ストラタシスのデザインチャレンジに見る3Dプリント教育の重要性

3Dプリンターと3DCADに精通した人材育成

3Dプリンターはここ数年で飛躍的に技術が向上し、さまざまな業界での利用が期待されている。造形精度の向上や多種多様な素材を使うことで、製品開発のスピードを飛躍的に向上させ、同時にこれまでとは比べものにならないぐらいコストを削減することができる。

もはや使用方法は試作品の製造から最終品を製造するための生産機器として扱われつつある。こうした用途の変化は技術発展のスピードと同じぐらい早く行われるが、どうしても追いつけないものがある。それは人間の能力だ。

3Dプリンターの捉え方や使用方法が変化したとしても、それに即座に対応することができる人はほとんどいないだろう。そうした状況から次代のデジタル生産に対応するための人材確保は早急の課題だ。

才能のある学生を3Dプリントデザインコンテストで支援

例えば一例を上げるとアメリカのエレクトロニクスを代表する企業GEなどではこうした課題を解決することが急務になっている。自社で生産するジェットエンジンのパーツを3Dプリンターでの生産に切り替えようとしているが、大量の3Dプリンターとともに優秀なCADオペレーターが必要だ。

機械はお金で買えるが、人間にある一定の技術を習得させるためには一定の教育が必要になる。そのため今アメリカやイギリス、日本、シンガポールといった先進国では、教育分野への3Dプリンターの導入と教育カリキュラムの再構築が徐々に行われている。

こうした導入にあたり今最も精力的に動いている企業がストラタシスとMakerBotだ。MakerBotの企業目的と市場ターゲットは学校への3Dプリンターの導入だが、ハイエンドな高性能3Dプリンターを販売するストラタシスも教育市場に積極的だ。

その商品特徴から同じ教育市場といっても全く違うターゲットとアプローチを行っている。本日はストラタシスの高等教育向けのデザインコンテストをご紹介。

受賞者には奨学金を給付

MakerBotは、低価格なデスクトップタイプを販売していることから、おもに小中学を中心に活動しているが、ストラタシスは高校、大学が中心だ。今回は芸術、建築、エンジニアリングの学生を対象にしたデザインコンテストを実施している。

今回行われたデザインコンテストは実は4年目である。1位の学生には2500ドル、約25万円、2位と3位の学生にはそれぞれ1000ドル、約10万円を奨学金というかたちで授与している。

主な分野は3つに分かれており、大学のエンジニアリング部門、芸術と建築部門、高校のエンジニアリング部門の3種類。面白いのが、評価の基準となるポイントが、創造性と実現可能性という点。

見た目やアイデアだけではなく、機械的特性から現実的に最終製品としての可能性が問われるというわけだ。

受賞した作品

画像出所:ストラタシス

まとめ

こうした学生を対象としたデザインコンテストは、データに基盤を置く3Dプリンターには最適なのではないだろうか。データとクラウドを絡めることで地域を限定することなく、世界中の技術や能力のある学生を集めることもできるし、彼らの興味関心を集め世に輩出する機会の提供にもなるだろう。

こうしたITを活用したグローバルな発想や企画はこれからの教育にはおおいに役立つのではないだろうか。確かに一定の課程を経なければ総体的に人材のパイを拡大することは難しいが、今までよりもはるかに集めやすい環境にあることは間違いない。

ましてや少子高齢化で学生の数が毎年減少する我が国や先進国ではこうしたITを利用した取り組みはますます必要だろう。

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