3Dプリンターの様々な導入事例
3Dプリンターを自社に導入することで、商品開発のスピードを大幅に高めることが可能だ。
その利用方法は非常に幅広く、商品開発の工程におけるさまざまなシーンで使うことができる。単純な試作品を製造するだけではなく、金型を製造するツールとしても使用できるし、金型自体を製造することにも利用可能だ。
本日ご紹介する企業の導入事例も、金型製造に3Dプリンターを利用することで大幅に製造期間を短縮することに成功している。
射出成型金型の製造が24時間で可能
本日ご紹介する企業「Whale」は北アイルランドに拠を構える、電子ポンプシステム、ガス/電気暖房、キャンピングカーなどのRV車など、様々な業界の水と空間システムを製造開発するメーカーだ。
アメリカやイギリスを中心に世界的なネットワークを有し、多くの企業の製品開発に貢献している。
この「Whale」社だが、水回りの循環、排水、ポンプに関するものなら、商品からシステム、サービスなどトータルで提供する専門企業。
その一環として、さまざまな顧客の要望に合わせて試作品の製造や、金型製造のサービスも提供している。今回3Dプリンターが導入されたのは、この試作品、金型製造のサービスにおいて。
実際の使用例では、試作部品用の射出成形金型を作成するのに利用されており、なんとリードタイムはたったの24時間で作れるという。
この24時間という時間は驚異的なスピードで、従来の製法では4週間から5週間かかっていたものから比べると97%の時間削減につながっている。仮にアイデアから依頼した場合でも48時間というスピード感だ。
これにより日中はデザインに集中することができ、3Dプリントが終わった次の日の朝、テストするという工程をとることができるという。
24時間で作られた試作品製造用の射出成型用金型
3Dプリンターで作る射出成型用金型を作る動画
「Whale」社の3Dプリントサービスの動画
120以上の材料が使用できるストラタシスのObjet350 Connex
「Whale」社が導入している3DプリンターはストラタシスのObjet350 Connexだ。
Objet350 Connexは120以上の材料を用いて様々な製品を作ることができるマルチ素材の高性能3Dプリンター。主な使用できる材料は、透明材料やゴム状材、高性能のABS樹脂など様々だが、今回使用されたのは、耐高温性及び靭性の材料特性を備えているデジタルABS樹脂。
Objet350 Connex
Objet350 Connexスペック
- 造形サイズ:342㎜×342㎜×200㎜
- 解像度:16ミクロン(高品質)、30ミクロン(ハイスピード)
- 対応OS:windows7
- プリンターサイズ:1420㎜×1120㎜×1130㎜
- 重量:500kg
- プリンターヘッド:8台
- 電源:110-240 VAC 50/60 Hz
- 適性温度:18℃~25°
まとめ ‐3Dプリンターは企業競争力を高める-
「Whale」社はストラタシスの3Dプリンターを導入することで大きな変革があったとしている。
それは製品開発のスピードが劇的に変化するだけではなく、それを利用することでさまざまな顧客のさまざまな要望に柔軟に答えることができるという点だ。
第一に製造のリードタイム自体は97%も削減されているが、製品の研究開発全体の流れでも35%も短縮に成功している。
このリードタイムの削減は、単純な作業量の減少ではなく、デジタル上で製品設計を行うことから、アイデアの幅を広げ、製品設計の改善の大幅なスピードアップにつながっている。
第二には、デジタルデータと幅広い材料に対応してるプリンターの精度から、顧客の細かいオンデマンドな要望を柔軟に再現できるという点だ。
このように3Dプリンターを導入することで、企業は生産効率をたかめ顧客に提供するサービスの幅を広げ、企業競争力を高めることができる。
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