シリコンバレーのスタートアップ企業が開発
2014年に入り、様々な素材に対応した3Dプリンターが登場している。つい数か月前の1月末にも最先端素材の一つとして注目使用されている炭素繊維の3Dプリンターが発表された。MarkForged社が発表した炭素繊維の3DプリンターMarkOneはデスクトップトップタイプに分類される3Dプリンターで、紹介されている動画などを見る限り、高精度な3Dプリンターではなく、主に試作製造を目的としたもののように見えた。
MarkOneの記事はこちらをどうぞ
そんな中、新たに炭素繊維とカーボンナノチューブによって強化された高性能ポリマー材料の3Dプリンターが発表された。この新型の3Dプリンターを発表したのはシリコンバレーのスタートアップ企業Arevo Labで、超強力な高性能ポリマーパーツを作成するための独自の3Dプリント技術とその材料をリリースしている。
Arevo Labの製品は独自のカーボンファイバーとカーボンナノチューブ(CNT)強化高機能材料で強化された4種類の製品になる。4種の素材は高性能ポリマーと言われるPEEK樹脂、レーデル® ポリフェニルサルホン(PPSU)、 ULTEM™ 樹脂、プリモスパイア® 自己補強性ポリフェニレン(SRP)だ。
あらゆる産業のパーツ製造に対応できるクオリティ
従来、これらの強化プラスチックを3Dプリントすることは不可能であったが、同社は独自技術によってそれを可能にしている。画期的なのは、この4種の材料を3Dプリントできることで、非常に広範な製造分野に適合できる点だ。下記、4種の特長と対応できる製造分野をご紹介するが、自動車、航空宇宙、医療、電子機器、半導体など様々な分野でオンデマンド製造が可能になる。
PEEK樹脂
射出成形可能な熱可塑性樹脂としては最高の耐熱性を持つ芳香族系のプラスチック。また同時に耐水性や耐薬品性にも優れており、自動車のオイルシールリングやABSブレーキシステム用パーツ、電子部品や半導体産業のパーツ製造に最適。
レーデル®ポリフェニルサルホン
高い耐熱性と優れた耐加水分解性を特徴とする。蒸気滅菌に繰り返し耐える必要のある医療機器に適した素材。また、低発熱、低発煙、低毒性ガス放出などを規定する厳しいFAA 規制に適合しているため、航空機内装部品、航空機用配膳トロリーなどの製造に最適。
ULTEM™ 樹脂
優れた耐熱性、高い強度と剛性、幅広い耐薬品性を備えている。また、耐薬品性、弾性率の要求にも対応しており、自動車や航空機で使用されるオイル等、脂肪族炭化水素、アルコール、酸、希釈液などに触れても強度を維持できることから、自動車用パーツ、航空機用パーツの製造に適している。
プリモスパイア®自己補強性ポリフェニレン(SRP)
非強化タイプとしては世界中で最も剛性と強度に優れたプラスチックの 1 つ。繊維強化していないにもかかわらず、強化プラスチックに匹敵する強度を持ち、同時に軽量性も併せ持つ。その特性から用途は幅広く、航空宇宙部品、手術器具・医療機器、ウエハー加工・試験部品、軍事・防衛関連品、高強度チューブなどで使用が可能。
高性能ポリマーの3Dプリント動画
様々なパーツが3Dプリント可能になる
まとめ -一気に拡大する3Dプリントパーツ-
Arevo Labは今回の高性能ポリマーを3Dプリントするために、世界的な素材メーカーであるソルベイ特殊ポリマーと提携を行っている。ソルベイ特殊ポリマーは1500以上の高性能ポリマーを製造するメーカーであらゆる業界に素材を供給している状況だ。
この高性能ポリマーが3Dプリンターで使用できることで、あらゆる業界でのコスト削減と製造スピードのアップが可能になるだろう。上記で述べた自動車や医療、航空宇宙産業では既に3Dプリント技術が使用されているが、その使用範囲はきわめて限定的であった。
しかし今回のArevo Labの3Dプリント技術は製造できるパーツ類を一気に拡大した感がある。これが本格的に実用化されることで、従来では作ることができなかったパーツや製品が可能になり、製造プロセスの効率化と製品開発の加速化がより進むことだろう。
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