他社比較から見る完全な透明性を実現するLUXeXceLの3Dプリント

全ての3Dプリント製法に共通する工法「積層化」

3Dプリント技術は何種類かあるが、完全に透明な物体をプリントすることはできない。その最大の原因が何層にも渡って積み上げる製法をとっているからである。FDM製法は、フィラメント状の樹脂を溶かして積層する技術、SLA、光造形もまた、液体状のエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタンなどをベースにした紫外線硬化性樹脂を使用し、紫外線レーザーで層ごとに固めて積み上げる方法になる。

また、3Dsystemsの3Dプリンターに代表されるマルチジェットモデリング(MJM)という3Dプリント技術も、光造形とにており、紫外線硬化性樹脂とサポート材(ワックス)をプラットフォームへ吹き付け、その後紫外線を当てて樹脂を硬化させて積層する方式だ。

さらにはストラタシスに代表されるPolyjet方式も、同様に、UV光で硬化させる感光性樹脂を利用した層ごとに構築する製法になる。このように見てみると、現在のプラスチック素材における3Dプリントの製法は、「積層」がベースになっている。どんなに層ごとの厚さが微細であったとしても積層することによる継ぎ目は必ず残り、完全な透明性を再現することは難しい。

透明性を実現するための素材 ガラスを超えるアクリル

また、透明性という観点から言うと、素材自体の性能も影響する。プラスチック素材には透過率というものがあり、どれだけ光を通すことが出来るかという精度があるのだ。たとえばプラスチック素材の中でも最も透過率が高い素材はアクリルだ。

ガラスを超える92パーセントの透過率を誇る。次に挙げられるのがポリカーボネートでガラスに近い85パーセントから90パーセントの透過率になる。つまり完全な透明性を3Dプリントで再現するためには、アクリルを使い、尚且つ上記の4つの3Dプリント製法とは異なる方法を採る必要があるわけだ。

こうした完全に透明な3Dプリント製法を新たに公開している企業として、光学レンズの3Dプリント製造を提供するLUXeXceLが自社の透明な3Dプリントとの比較を公開している。

LUXeXceLの光学レンズ

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「積層化」しないLUXeXceLのPrintopticalテクノロジーとは

LUXeXceLは過去に何回かご紹介した企業だが、光学レンズの3Dプリント製造を行う企業だ。表面研磨などの後処理をまったくすることなく、データからダイレクトに光学レンズを3Dプリントすることができる技術を持つ。その独自技術はこれまで言及されてこなかったが、今回初めて、他社の3Dプリント技術との比較を含め概要を公開している。

LUXeXceLが独自に行う3Dプリント技術はPrintopticalテクノロジーというもの。前述のようなさまざまな3Dプリント技術と異なり、「積層化」することなく物体を造形することができるという。透過率が高いアクリル樹脂のUV硬化型アクリル系インクを使用し、「積層」することなく形にすることが可能だという。

その模様は公開されてはいないが、「インク滴が流れ、特定の場所でそれらを硬化させる技術」とのこと。従来からLUXeXceLがうたっているように後処理もまったく必要ない。下記はLUXeXceLが公開しているその他の3Dプリント技術との比較写真だが、透明性は一目瞭然だ。

ちなみにこのLUXeXceLの製造する光学レンズの透明性はなんと、96.9%の内部透過率を実現している。カメラなどの光学レンズなどは通常光がレンズに入ってくる際に、8パーセントの光が失われる。そのため一般的に表面にコーティングが施される場合が多いが、LUXeXceLは表面加工することなくこの驚異の透過率を実現しているのだ。

LUXeXceLの他の3Dプリント技術との透明性比較
まったく透明性が異なる

まとめ オンライン販売も開始

LUXeXceLはこの独自技術Printopticalテクノロジーを使って、インターネットからのオンデマンドサービスも開始している。3Dデータを送ることでカスタマイズされた光学レンズの製造に対応することができる。詳しい原理は秘密のようだが、この優れた透明性は光学レンズだけではなくその他の筐体などにも対応できるのではないだろうか。他社の3Dプリント技術とは一線を引いたまったく異なる取り組みだといえよう。

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