ポリエステルの特性と用途 生地からエンジニアリングプラスチックまで

ポリエステルとは 代表的製品と概要

世界のプラスチック市場で最も生産量が多い種類をご存知だろうか。圧倒的な市場シェアを誇るプラスチック素材がポリエチレン(PE)だ。ポリエチレン(PE)は市場シェアのゆうに三分の一33.5%を誇り、ビニール袋から包装用のパッケージ、エンジニアリングレベルまでその種類は多岐に渡る。

次に多いのがポリプロピレン。ポリプロピレンは無印良品などに行けばさまざまなプロダクトに使用されており、プロダクトデザインの分野では圧倒的に汎用性が高い素材だ。そのシェアは19.5%に達し、最も手軽なプラスチック素材だといえよう。そして第三位に位置するのが、本日ご紹介するポリエステルだ。実は後にご紹介するが、ポリエステルはさまざまな種類が存在し、その総称としてポリエステルという種類で一括りにされている。

大まかに分類すると、繊維としてのポリエステルと、成形品としてのポリエステルに分類される。例えば以前ご紹介したポリエチレンテレフタレート(PET)は成形品としてのポリエステルで代表的なプラスチック素材だといえる。ちなみにポリエチレンテレフタレート(PET)で最も代表的な製品がペットボトルでペットボトルのペットとはポリエチレンテレフタレート(PET)のPETから由来する。

このポリエチレンテレフタレート(PET)については、「ポリエチレンテレフタレート(PET)の特性と用途 ペットボトルからフリースまで」で詳しくご紹介しているので、そちらをご参照いただければと思うが、今回はこのポリエチレンテレフタレート(PET)以外のさまざまな種類のポリエステルを、繊維素材を中心にご紹介する。ポリエステルと聞いて最もすぐ連想する製品は衣類などに使用される合成繊維としての生地が挙げられるが、ポリエステルは合成繊維としても最も生産量が多い素材。

また、生地以外にもエンジニアリングプラスチックとして電子機器や自動車部品などに使用され、重厚感があるポリブチレンテレフタレート(PBT)や、寸法安定性にすぐれナイロンよりも良好な高性能繊維ポリエチレンナフタレート(PEN)、ロープやケーブル、エレクトロニクス製品など高度な複合材料として使用される高性能繊維であるベクトランなど、さまざまな種類が存在する。

これ以外にもポリエステルの種類が存在するが、例えば植物由来で作られるPLA樹脂(ポリ乳酸)もポリエステル系に属する。今回はこのいろいろな用途で使用される消費量第三位のプラスチック素材、ポリエステルについて生地・合成繊維としての使用を中心に、その他の代表的な使用例についてもご紹介しよう。

ポリエステルの歴史 生地としてのはじまり

冒頭でポリエステルにはさまざまな種類が存在するということを述べたが、そのはじまりはポリエチレンテレフタレート(PET)としてのはじまりである。一方、素材としてのポリエステルというと生地すなわち合成繊維としての認知が一般的だが、生地としてのポリエステルのはじまりも、ポリエチレンテレフタレート(PET)の開発当時までさかのぼる。

このあたりはややこしいが、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、いまではポリエステルの一種類ではあるが、生地などに使用される合成繊維素材としてのポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を糸状にするということから始まっている。そのためポリエステルの始まりというと、このポリエチレンテレフタレート(PET)としての開発に端を発する。

ポリエチレンテレフタレート(PET)のはじまりは、1941年、イギリスの化学者ジョン・レックスウィンフィールド博士とジェームズ・テナントディクソン博士がPETとして開発、特許を取得した。ちなみに生地としてのポリエステル繊維はテリレンもしくはダクロンとして名付けられている。実際に繊維としての利用が開始されたのは1953年で、上記2名の博士が所属していたキャリコプリンターズ社からデュポンが特許を取得してからである。

そのため生地として、合成繊維としてのポリエステルの開始は1953年からともいうことができる。ちなみにポリエチレンテレフタレート(PET)の代表とも言えるペットボトルの実用化は1967年であり、基本的に「ポリエステル」という言葉自体は合成繊維を指すということが定着化している。このポリエステルの商標であるダクロンは現在もアメリカ・デュポン社の商標であり、日本では帝人と東レの共同商標であるテトロンで有名だ。

ポリエステルの特性 長所と短所

ポリエステルは、生地・合成繊維としても世界で最も生産量が多く、あらゆる衣類に使用されている。その特性は、一言で言うと磨耗に強く耐久性に優れているということが言える。また衣類としての使用を想定したことから、非常に水に強く吸湿性が強く水に濡れても乾きやすいという特性を持つ。

また、衣類として使用される場合には、シワになりにくいなどの個別の機能が求められることから、ポリエステルは弾力性が高く、復元が強く、繊維の形状を保つ機能が備えられている。ちなみに、一言で合成繊維といっても、ポリエステルの用途は非常に幅広く、登山用のロープに使用される場合もあれば、ベッドシーツ、毛布、などに使用されるケースもあり、素材としての特性は使用される製品によって異なる。

また合成繊維としてポリエステルが使用される場合には、防水性や撥水性などを加えるためにシリコーンなどの繊維処理材が使用されたり、綿との混合によって使用されることが多いため、用途や製品によっても特性は異なる。

ポリエステルの長所

  • 耐久性:高い耐久性と強度を持つ。
  • 耐磨耗:高い耐磨耗性を持つ。
  • 弾力性:高い弾力性を持ち、形状の復元率が高い。
  • 吸湿性:水に強く、濡れても乾きやすい。
  • 耐薬品性:耐薬品性にすぐれる。
  • 引裂き抵抗性:破れにくく収縮が小さい。

ポリエステルの短所

  • 耐火性:耐火性が低く着火時に溶融する。
  • 印刷性:印刷性が悪く染めにくい。

ポリエステルの製法

ポリエステルの合成は、一般的に重縮合反応によって達成される。古典的な方法では、アルコールとカルボン酸のカルボン酸エステルの重縮合である。ここまではポリエチレンテレフタレート(PET)の製法と一緒だが、生地として、合成繊維素材として使用する場合には、このポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融し、糸状に押し出すことによってポリエステルが生成される。

ポリエステルの加工と用途 種類別

ここではさまざまなポリエステルの種類、代表的な製品やその加工と用途、特性についてご紹介しよう。ちなみに、冒頭でポリエステルの生産量は世界規模で第三位ということをのべたが、その大まかな内訳では合成繊維、生地としての使用が圧倒的に多く3900万トン。次に多いのがペットボトルとしての使用で、1600万トン、フィルムとしての使用が150万トン。それ以外の特殊ポリエステルとしての使用が250万トンとなっている。

この消費量は2008年時点での世界の生産量であることから、現在は多少変わっているかもしれないが、生地として使用される用途と、ペットボトルとして使用される用途が圧倒的なシェアを占めている。ペットボトルとしての使用についてはポリエチレンテレフタレート(PET)で詳しくご紹介しているので、今回は生地としてのポリエステルやそれ以外の特殊なポリエステルについてご紹介しよう。

生地としての生産量は第1位のポリエステル。それ以外にもさまざまな種類と用途が存在する。

ポリエチレンテレフタレート(PET)とPLA樹脂(ポリ乳酸)についてはこちらをご参照ください。

ポリエステル、生地としての使用はコーティングと織り方で変わる

上記で述べたとおり、ポリエステルの使用で最も多いのが生地、合成繊維としての使用だ。生地としてのポリエステルはもともと、そのために開発されたということからも、あらゆる生地に使用されている。最も代表的な存在が衣類で、シャツやパンツ、ジャケットや帽子などほぼ全ての衣類に使用される。生地としての合成繊維はポリエステル以外にナイロン(ポリアミド)も存在するが、合成繊維の生地はほぼこの2種類で占められる。

生地としてのポリエステルはナイロンとの違いや比較が問われることが多いが、実際に製品化された場合の違いや差はわかりにくい。またポリエステルの特性の部分でも述べたが、生地として合成繊維が使用される場合には、ポリエステル単体で使用される場合以外に、天然繊維である綿と織り交ぜられる場合や、シリコーンなどの繊維処理材が使用される場合、ポリウレタンコーティングされている場合など、一概にポリエステルとナイロンどちらが生地として優れているかということは言えないし、ほぼ違いはわからない。

この衣類としての使用以外に生地としてポリエステルが使用されている製品は、毛布やシーツといった寝具類から、マウスパットやバッグ類などにも多用される素材である。バッグ類では特に幅広く使用されており一般的なハンドバックから、ボストンバッグ、野外で使用されるキャディバッグなどさまざまな製品に使用されている。

また用途に応じて外部で使用する場合には撥水性などを高めるためにポリウレタンコーティングが施される。こうしたポリエステルベースの生地の使い方選び方は素材としての違いよりも、織り方でさまざまな表現方法が可能出るため、織り見本などで用途に応じた織り方を選択するのがベストである。

衣類としての使用が最も代表的。フリースやネクタイ、シャツ、パンツなどさまざま。
テントなどの素材にも使用。

ポリブチレンテレフタレート(PBT) 高級感のあるエンジニアリングプラスチック

ポリエステルの種類は非常に多岐に渡っているが、特長的なのがエンジニアリングプラスチックとして使用されるケースも存在するという点だ。その代表的とも言えるポリエステル素材がポリブチレンテレフタレート(PBT)である。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、熱可塑性エンジニアリングポリマーとして、主に電子機器産業で使用される。

エンジニアリングプラスチックの定義は100℃以上の高温環境下においても変わらず一定の強度を保ち続けることができるプラスチック素材だが、このポリブチレンテレフタレート(PBT)は最大で150℃の高温でも耐えうる耐熱性と機械的強度を持つ。また、この耐熱性はガラス繊維強化材を配合することで200℃まで高めることが可能。

更には難燃剤を加え不燃性にすることもでき、成形時における熱収縮も非常に少ないプラスチック素材なのだ。ポリブチレンテレフタレート(PBT)はこうした高い性能を持つことから、電子機器、自動車などのコネクターとして多用される素材。またアイロンやシャワーヘッドの筐体としても使用される。

筐体として使用される場合には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)はその高い機械的特性以外にも、重厚感のある美しい見た目を表現することができる。ガラス繊維強化材を混ぜれば陶器のような質感も表現することが可能で、高級感のある家庭用品にも使用が適している。

一方、このポリブチレンテレフタレート(PBT)も糸状、繊維素材として使用することが可能で、高い伸縮性などから高機能なスポーツウェアにも最適。高い耐塩素性やUV特性を持っていることから水着などでも使用される素材だ。

アイロンなどの筐体にも使用される。重厚感があり、高級感を再現するプラスチック素材として使用できる。

ポリエチレンナフタレート(PEN) PETの高機能版ポリエステル

次に、繊維素材として更に強化されたポリエステルをご紹介しよう。それがナイロンよりも良好な寸法安定性を持つ、高性能繊維であるポリエチレンナフタレート(PEN)だ。ポリエチレンナフタレート(PEN)は、通常の繊維素材であるポリエステル、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)に比べて、強度と弾性率、紫外線バリア性、耐加水分解性、熱酸化抵抗、ガス透過性など、さまざまな面で優れている。

こうした特性から、酸化されやすいビールや炭酸飲料などのペットボトルに使用される。更には電子機器の分野では柔軟性のある集積回路の素材として利用される。このポリエチレンテレフタレート(PET)も繊維素材として使用される場合には、ナイロン繊維よりも良好な寸法安定性を持つ高性能繊維として使われ、高い性能を持つ素材として知られる。

ポリヒドロキシアルカノエート(PHA) 生体適合性のある外科用ポリエステル

ポリエステルの種類でもう一つ特長的なのが生体適合性があり、医療用で使用することができる種類が存在する点である。このポリヒドロキシアルカノエート(PHA)はその代表とも言えるポリエステルであり、自然界の最近や脂質などから生成されるバイオプラスチックで、生体適合性を持つ。主な用途としては外科用の縫合糸や半月板修復用パーツ、リベット、ネジ、プレートなど、外科手術で使用される医療用パーツとして多用される。

PHBV 医療用インプラントのポリエステル

もう一つ、生体適合性があり医療用で活躍するポリエステルがPHBVポリ(3- hydroxybutyrate- コ -3-ヒドロキシバレレート)と言われるポリエステルだ。このPHBVは、生体適合性以外に生分解性、非毒性であるポリエステルで、医療用インプラントや整形外科で使用されるプラスチックである。

ポリヒドロキシ酪酸(PHB)バイオ由来および生分解性プラスチック

もう一つ、生体適合性以外に、バイオ由来の生分解性のポリエステルも存在する。生分解性のポリエステルの一種として、3DプリンターのフィラメントであるPLA樹脂(ポリ乳酸)が有名だが、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)もバイオ由来のポリエステルである。ポリヒドロキシ酪酸(PHB)は主に微生物によって生成されるプラスチック素材で、堆肥でとけ、再生可能エネルギーのプラスチックとして注目を集めた。このポリヒドロキシ酪酸(PHB)のポリエステルの主な用途は、医療用の内部縫合の目的に使用されており、外科手術の縫合後、除去する必要の内糸として利用されている。

外科用の糸でも使用される。

ポリブチレンサクシネート(PBS) ポリプロピレンに匹敵するポリエステル

もう一つ生分解性のポリエステルとして利用が盛んなのが、ポリブチレンサクシネート(PBS)である。ポリブチレンサクシネート(PBS)は、容器などで多用され、生産量も第2位のプラスチック素材、ポリプロピレン(PP)に匹敵するポリエステルとして注目を集めている。このポリブチレンサクシネート(PBS)は、生分解性でありながらポリプロピレンに匹敵する性能を持つものとして、ポリプロピレンで多用されるパッケージングの分野で利用が盛ん。例えば食品用フィルムや包装材、袋といった分野でポリプロピレンの代替プラスチックとしてしようされる。また医療用ではインプラントや薬のカプセルでも使用することができる。

ベクトラン ロープで重宝する高強力繊維

ポリエステルは繊維としての使用が多いと述べたが、その範囲は非常に幅広く、ロープやケーブルといった高い強度を要求される繊維素材にも使用される。そのために開発された高強力繊維のポリエステルがベクトランだ。ベクトランは高強度、耐磨耗性にすぐれ、高い引張り強度を持つ。またポリウレタンコーティングなどを施すことで水に対するバリアや抵抗力を高めることが可能で、漁業用の網にも使用可能。ベクトランの性能を表す最も代表的な例が、NASAの火星探査機の着陸用エアバッグに使用される。ちなみにこのベクトランの全世界の生産量の全て、100%をクラレが所有している。

ロープやケーブル、漁業用の網で使用されるポリエステル素材。

不飽和ポリエステル樹脂 ガラス繊維強化用熱硬化性樹脂

ポリエステルは基本的に、加熱すると溶けて冷却すると固まる熱可塑性樹脂としての使われ方がほとんどだが、もともと液体で加熱すると硬化する熱硬化性樹脂としてのポリエステルも存在する。それが不飽和ポリエステル樹脂と言われる種類(ちなみに熱可塑性は飽和ポリエステル樹脂)で、主にガラス繊維を配合するガラス繊維強化プラスチックの材料として使用される。この不飽和ポリエステル樹脂で作り出される繊維強化プラスチックは、機械的強度にすぐれ、耐薬品性や電気絶縁性、加工性に優れることから、自動車用部品や家庭用のキッチン用パーツ、浴室ユニットなどの成形に使用される。

3Dプリンターとポリエステル

ポリエステルは3Dプリンターの材料としても開発が進んでおり、FDM (熱溶解積層法) 3Dプリンターの主力材料であるフィラメント素材として登場している。FDM(熱溶解積層法)は熱可塑性樹脂の特性を生かした積層造形方法であり、さまざまな熱可塑性樹脂がフィラメント素材として利用出来る中、ポリエステルをベースとするフィラメントも大きく分類して3種類のものが登場している。

以下に詳しくご紹介するが第一がPLA樹脂(ポリ乳酸)のフィラメントである。PLA樹脂は、先にも述べたがポリエステルの一種類であり、もともとABS樹脂の代替品として開発された素材。金型加工でも使用されるが、FDM (熱溶解積層法)の材料としてもっとも主力となる素材だ。

第二がポリエチレンテレフタレート(PET)としてのフィラメント素材。ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィラメントは2社、FormFtura社とTaulman3Dというフィラメントメーカーからリリースされている。

そして第三が、オランダのフィラメントメーカーColorFabbがコポリエステルメーカーであるイーストマンケミカル社と共同開発したポリエステルフィラメントが登場している。どのフィラメントもさまざまな特長を持っており、特にデスクトップタイプのFDM 3Dプリンターで使用することが出来る。

PLAフィラメント 進化するポリエステル素材

FDM 3Dプリンターの材料として最も有名なフィラメントの一つがPLAフィラメントだ。ABSのフィラメントと双璧を成す形で有名だが3Dプリンターで使用する場合は、脆くて熱に弱いという弱点を持つ。そのため、最近ではこのPLA樹脂にさまざまな素材を配合することで、安定性や強度を高めるPLAフィラメントが登場してきている。

例えばオランダのフィラメントメーカーColorFabbなどは、PLAフィラメントに金属などの素材を配合したさまざまなフィラメントを開発している。また、デスクトップタイプで圧倒的なシェアを持つFDM 3DプリンターのメーカーMakerBotもPLA樹脂に金属素材などを配合する4種類のフィラメントを販売している。

更には後にもご紹介する3DプリントフィラメントメーカーのPolymakerは、最終品レベルでも使用することが出来る高強度なPLAフィラメントをリリースした。このようにポリエステルの一種類であったPLA樹脂は、FDM 3Dプリンターの材料であるフィラメントとして独自の進化を遂げつつある。

さまざまなPLAフィラメントが登場。下記で詳しくご紹介しています。

強化されたPLAフィラメント

ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィラメント 高い透明性と耐衝撃性

続いてご紹介するフィラメントが、ポリエチレンテレフタレート(PET)としてのフィラメント開発である。ポリエチレンテレフタレート(PET)はこれまでご紹介してきたようにペットボトルの主力材料の一つだが、FDM 3Dプリンターのフィラメントとしては高い透明性と光沢性、耐衝撃性、引っ張り強度などが強化された材料として開発されている。

ポリエチレンテレフタレート(PET)の特長の一つは高い透明性だが、積層造形のフィラメントでは他の素材では実現できない透明性を再現できるのが特長的だ。例えばFormFtura社のポリエチレンテレフタレート(PET)のフィラメントでは、90%もの光透過率を実現している。一方Taulman3Dのポリエチレンテレフタレート(PET)のフィラメントは引っ張り強度や耐衝撃性に優れる作りとなっている。

Taulman3Dのポリエチレンテレフタレート(PET)のフィラメントはこちらをどうぞ

透明性を再現し、強度や光沢性が発揮されたフィラメント。

コポリエステルベースの次世代型3Dプリントフィラメント

最後にご紹介するのが、ColorFabbがコポリエステルメーカーであるイーストマンケミカル社と共同開発した新型フィラメントNGENシリーズとHTフィラメントだ。この二つのフィラメントは、これまでデスクトップ3Dプリンターの主力材料であったABS樹脂とPLA樹脂の弱点を克服し、安定したプリント性能を発揮出来るフィラメントだ。現状のデスクトップタイプの3Dプリンターは機種によっても異なるが印刷そのものの安定性が工業用と比べて高くはない。

そのため単なるモックアップ程度にしか使用することができず、正確でミスのない造形を行うのにも一苦労することが多い。ColorFabbのコポリエステルのフィラメントはこうした現状のデスクトップタイプの3Dプリンターをより正確に安定して造形するために開発されたものだといえよう。また食品接触用途のための特定の米国食品医薬品局(FDA)の規制に準拠しており、同時に強靭で寸法公差が狂いない造形物をつくることが出来る。

ColorFabbのコポリエステルフィラメントはこちらの記事をどうぞ

コポリエステルのフィラメントはデスクトップ3Dプリンターをより実用的にしてくれる。

このように、3Dプリンターの材料であるフィラメント素材は、続々とその開発が進む中ポリエステルベースのフィラメントは、デスクトップモデルの中では、その種類、バリエーションが最も多いプラスチック素材だといえる。おそらくPLA樹脂を始めポリエステルベースの3Dプリントフィラメントは今後も開発が進むだろう。

まとめ あらゆる分野で進化するプラスチック素材

ポリエステルというと、合成繊維や生地としてのイメージが強いが、その種類はさまざまであり、高性能なエンジニアリングプラスチックから、生体適合した医療用途、ガラス繊維などとの配合によるコンポジット材料と非常に幅広い使われ方をしている。また最新の造形技術として注目が集まる3Dプリント技術においても、最もバリエーションに富んだ材料を提供している。

このようにポリエステルは、極めて汎用性が高く、さまざまなものに利用されるプラスチック素材として、我々の身の回りのあらゆる製品に使用されている。基本的には繊維素材として多くの製品に利用されているが、実は近年に入ってからも開発が盛んなプラスチック素材であり、今後も新たな種類のポリエステル素材が登場するかも知れない。ポリエステルはまだまだ進化する素材だ。

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